タイトルに惹かれて読んでみたら、お守りのように大切な本になりました

題 名「もしも人生をやりなおせるなら   If I had my life to live over」著 者 ナディーン・ステア
出版社 ディスカヴァー・トゥエンティワン

「もしも人生をやり直せるなら、
こんどはもっとたくさん失敗したい。」

冒頭、この言葉にドキッとしました。皆さんはいかがですか。石橋を叩いて渡るどころか、慎重が過ぎて石橋を叩き壊してしまう人にとっては耳が痛いかもしれません。私はといえば、失敗ならたくさん経験していると若い頃は思っていましたが、いま過去を振り返ると「なんだ、あんなことは失敗でもなんでもなかった」と思うのです。と同時に、50代になってから妙に保守的になったと思っていたので、とても耳が痛くなる言葉でした。

「もうなんでも
深刻にうけとめることは
やめる。」

静かにパンチを食らった、この言葉。かつて私は、人生は行動することが大事で失敗も成功もすべて楽しむ!の精神を胸に掲げていたのですが、いつの間にか息を潜めるように日々を過ごしていました。そして日常の小さなことまでも深刻に生真面目に考えていたように思います。ちょっと息が詰まってきたところで、この本に出会い、目が醒めました。

人生の指南書とさえも思える本書は、絵本のようにほぼ全ページに色彩豊かなイマジネーションの広がるイラストが描かれています。
優しい語り口調のなかに強い決意を感じる、この詩を書いたナディーン・ステアさん。最後のページに彼女について記されているので、一部抜粋します。

「作者のナディーン・ステアという女性についてわかっていることは少ない。アメリカ合衆国のケンタッキー州に暮らしていたらしいこと。彼女が85歳のときにこの詩を書いたらしいこと。それがすべてです。」

この詩を書いたあと、
彼女は豆をやめてアイスクリームをすきなだけ食べたのかしら。
旅に出て、山に登って、川で泳いで、ダンスも踊って
そして、たくさんヒナギクを摘んだかしら。

ページをめくるたびに勇気が湧き、お守りのように大切な本になりました。この本に出会っていなかったら、大きな忘れ物をしたまま、私は人生を過ごすことになったでしょう。
そう、人生の残り時間を意識する終活世代の私たち。ところが、日々やるべきことや考えることがたくさんあり過ぎて、自分のことを後回しにしがちになってはいませんか?
この本を読むと、「本当にしたいことはなに?」と、自分の本心に聞いてみたくなります。
そしてもし迷っていることがあるのなら、背中を後押ししてくれるきっかけになるかもしれません。

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