Web記事や雑誌などで、最近多く特集される「グレイヘア」。グレイヘアとは、白髪染めをせずに本来の髪の色や質を活かしたヘアスタイルや、白髪を完全に隠す白髪染めではなくて、うっすらと色が入るヘアカラーを使ったヘアスタイルのことをいいます。
そもそも白髪の出方は人それぞれ。なぜか集中して部分的に出る人もいれば、いやでも視界に入る頭頂部や顔まわりに出る人も。こうすれば解決しますとひと筋縄でいかないのが白髪ケア。しかし、今はたくさんの情報があり、ヘアケア用品もどんどん発売され、グレイヘアに追い風を感じます。
「老いに抗わず、ありのままの自分をポジティブに受け入れる」この感覚が今のグレイヘア世代の気持ちに合っているのかなと思います。また、コロナ禍で美容院へ行きづらい時期があったことも、グレイヘアが見直されるきっかけだったのではないでしょうか。それに、白髪染めを何年も続けていると頭皮を傷め、ひどい場合はアレルギー反応を起こしてしまう人もいます。こうしたさまざまな理由と動機で、グレイヘアに移行する人が増えてきました。
そう、この「グレイヘアに移行中」を楽しむ方法が、今は本当にたくさんあります。
数本の白髪や生え際だけ気になるなど、それほど白髪が目立っていない方なら、お手軽に使用できるマスカラタイプが便利。頭頂部に白髪がまとまって増え、地肌が透けたように見えるのが気になるという場合は、ポンポンと面で着けるパウダータイプならあっという間に仕上がります。ただし、猛暑で黒い汗を額に流さないために、パウダーを定着させる専用ミストを使用した方が安心です。洗うたびにほのかに染まるカラーシャンプーや、泡パック、そして最近いろいろなブランドから発売されている自分でできるカラートリートメント。お店の商品棚には、ありすぎて悩ましいほど、いろいろな商品が並んでいます。カラートリートメントはシャンプーをしたあと、従来のトリートメントの要領で使用できる手軽さが特徴です。
わたくしごとで恐縮ですが、かつては白髪染めによる頭皮トラブルに悩んだことがあります。40代前半の頃、頭頂部と顔まわりに白髪が目立ちはじめたので美容院で白髪染めを始めました。それでもまとまった白髪ゾーンは2週間もすると悪目立ちをしてきます。そこで、いつもきれいな状態の髪で過ごしたいと切望し、2〜3週間に1度という短いサイクルで美容院へ行くようになり、白髪染めの薬を塗っている時、だんだん頭皮がビリビリするようになってしまい、さてこれからどうしようと考え始めたのが50歳の頃。白髪染めのあと、じわじわと痒みがおそってくるのですが、掻いたらもっとつらくなるので我慢しつつも、爪でぎゅっと熱を持った痒い部分を押し続けてしまう。痛いのか痒いのかわからない状態でした。睡眠中に豪快に掻きむしった頭皮は傷ついて、ある時、頭頂部に小さな水疱ができて、本気で怖くなり、もう白髪染めをやめようと決意したのです。
それから美容院で試したメニューがヘアマニキュアです。頭皮に刺激がないのでストレスはまったく無いものの、色落ちは早く、なおかつ地肌につかないように塗るので仕上がったその時から1ミリくらい白髪が見えるといった具合です。でもこの刺激のない優しい感じが好きで、長い間ヘアマニキュアを続けました。そして白髪が目立ってきたら自分でカラートリートメントをしてカバー。しっかりくっきり色がつかず、いい意味でぼんやり色がつくので黒髪と白髪の境目が目立たなくなります。今はヘアマニキュアもやめ、自分でこまめにカラートリートメントをし、時々白髪を活かしたハイライトを入れたりして楽しんでいます。
いつだったか、美容院ですれ違った年配の女性の姿が忘れられません。
きれいにお手入れされた真っ白い髪は、肩に着くくらいの長さで優しいゆるやかなウェーブがあり、真紅のカーディガンに白いインナー、クロップド丈のデニム、足元は茶系のヒールだったように記憶しています。(うわぁお洒落でかっこいい!)と衝撃を受けました。
女性に限らず男性も、ステキなグレイヘアにしている人たちの写真をWeb記事でたくさん見て、自分ならどういうふうにしていこうかなと前向きに考えていけたら、白髪は老化ではなく、進化・成長かもしれません。