家系図を作ってみようと思い立ちました

亡き両親の思い出に浸っていた頃、「そうだ、家系図を作ってみよう」と思い立ちました。自分が生きている証といったら大袈裟ですが、自分の根っこのようなものを知りたい、そう思ったのです。

さて、まずは何から始めたら良いのだろう。

ネットで調べると、家系図を作る専門の会社があるのですね。初めての分野なもので膨大な情報に感心するばかりで時間が過ぎていきましたが、私の場合は心の整理のためなので、自分のペースでゆっくり調べ、自分で作ろうと思いました。

まずは父方と母方の戸籍謄本を取り寄せるため、本籍のあった役所へ。その際、窓口に行く自分の身分証明書(運転免許証やマイナンバーカードなど)になるものを忘れずに。両親はすでに死去しているので「除籍」と記載されています。この文字をみると、なんとも悲しい気持ちになり、「家系図なんて要らないか」と弱気に。

いや、でも、血が流れ着いて、今わたしがここにいる。その図を作りたい。誰にも頼まれていないけれど、自分がそれを必要としている。

とにかく先祖代々の古い戸籍を入手できれば、あとはゆっくり自分で読み解いていこう。そう思い、窓口で「家系図を作りたいので、古い戸籍謄本が欲しいのです」と相談をしてみました。この相談内容が的を得ているのか、どうなのかわからないまま、自分は何が欲しいのかを明確に伝えました。

窓口の男性は、慣れた感じで優しく頷いてくれました。きっと私のように、何をどう始めたら良いのかわからないまま、気持ちのまま、古い戸籍謄本を取り寄せようとする人は多いのかもしれません、そんな気がしました。

「ちょっとお時間かかると思いますが、よろしいですか?」「もちろんです!」

番号札を持ち、待つ時間のなんて穏やかな気持ち。

まるで、亡き両親に再会するような気持ち。いや、両親だけじゃない、おばあちゃん、おじいちゃん。写真でしか見たことのないご先祖の皆々様。まずい、泣きそうだ。いつの間にか私は小さな子どもの頃に戻っていました。

番号を呼ばれ、窓口へ行くと、思っていたよりも大量の用紙を渡され驚き。用紙の頭には、「改製原戸籍(かいせいはらこせき)」と記され、戸籍の内容は縦書きで、人が手書きで書いたものでした。時には、くねくねとした漢字の羅列が続き、これを読み解くのは難しいかも、いやいや、楽しんで解読しよう。

家に帰ってじっくり読もうと思っていましたが、待ちきれません。区役所の椅子に座り、用紙をめくっていきます。知らない名前がたくさん出てきますが、他人じゃない。この人たちが生きてきて、そして今がある。この感覚はなんてたとえたら良いのでしょう。

父方の戸籍で一番古い生年月日は、私から四代前にあたる高祖母が天保拾四年。高祖父は死去した年月日は記載されていますが、生年月日がどこに書いてあるのかわかりません(涙)。

母方の戸籍で一番古い生年月日は、私から三代前の曾祖母が明治九年。曾祖父の出生が、死去した年月日は記載されていますが、生年月日がどこに書いてあるのかわかりません。どなたか専門家が見ればわかるのかもしれませんが、私の場合はゆっくりと読み解いていきたいと思います。

休日や夜寝る前に戸籍の解読をする日が続きました。

たくさん出てくる名前を書き出し、この人とこの人がこう繋がっているんだと何度も戸籍と見比べながら、矢印を引いたり消したり。

「あぁ、この作業を両親としていたら楽しかったかもしれない」そう思いました。思い出話に花を咲かせながら、家系図を作れたのかもしれません。家系図はまだまだ未完成ですが、戸籍に記されたたくさんの名前を見ていると、脈々と血が受け継がれているのだと実感します。今ここに生きている自分を奇跡に感じ、受け継いだバトンを大事にしようとあらためて思えるのです。

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