笑顔でいることの影響力

仕事で忙しい、家事で疲れている、考え事が多くてよく眠れない。
笑顔でばかりいられないことは日常の中に溢れています。

そんな時にふと思うこと。
笑顔でいるから幸せになるのか。
幸せだから笑顔で過ごせるのか。
「笑う門には福来る」とことわざにあるように、心の持ちようで良いことに恵まれるという教えは、昔からなじみ深いものです。

人とのコミュニケーションにおいては、笑顔を向ければ笑顔が返ってくる。言葉はなくても気持ちが通う瞬間です。

「おはようございます」も「ありがとう」も「よろしくお願いします」も、やわらかなほほえみを添えてこそ空気がほぐれ、次のアクションが生まれます。
少し前の長いマスク生活の間に、私たちはアイコンタクトが少し上手になったのではないでしょうか。
マスクの下でにっこりするだけでも、きっと相手の心に伝わります。

「ほほえむ」は、「頬が緩む」というように、口角を上げてにっこりする静かな動作です。
一方、声をあげて「笑う」は、抑えきれない「満面の笑み」や「笑顔がいっぱい」のうれしい感情があふれた表現です。
どちらの笑顔も単純にうれしい気持ちの表現とは限りません。さびしさを抑えた微笑みも、昔を思い出しての泣き笑いもあるように、さまざまな感情がその時その時の笑顔に秘められています。

近年の脳科学や心理学では、心の動きと身体の自律神経系・内分泌系の働きには関係性が見られるという研究が進んでいます。
脳内で働く神経伝達物質の一種であるベータ・エンドルフィン(β-endorphin)は鎮痛効果や気分の高揚・幸福感などが得られるため、脳内麻薬と呼ばれることも。同じくドパミン(ドーパミン・dopamine)は快感を感じること。セロトニン(serotonin)はそれらの分泌を制御して精神を安定させること。
こうした研究から、意識的につくり笑いをした時でもベータ・エンドルフィンやセロトニンが分泌することが解って来たのです。

ということは、笑うことで福が来るということわざは当たっているようです。
だからといって、おかしくもないのに大笑いするのは、かえってむなしくなりそう。そういう場合は、例えば、寄席に行ってみませんか。落語や漫才を聴いているうちに、周囲のお客さんの笑い声に誘われて自分も笑っているでしょう。
「ユニフォームに着替えると、自然に笑顔になります」という言葉を看護師さんから聴いたことがあります。それって、つくり笑顔でしょうか。いいえ、何らかの苦痛や不安を抱いている患者さんに向き合う看護師さんたちの、やさしく寄り添うコミュニケーションツールです。

そう、笑顔は最強のコミュニケーションツール。
毎日、顔を洗った後に鏡の中の自分ににっこり笑いかけても、笑顔効果はありそうです。

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