お墓の引越し、墓じまいの心得

日本の少子高齢化は日を追うごとに進んでいき解消の目処はなかなか見えません。
その現代で問題になっている一つが空き家です。
玄関は煩雑で庭木も伸び放題。住む人が絶えたような家を見かけることが身近にも増えてきたように思います。
最新情報は平成30年の総務省統計時点で、全国でおよそ850万戸、この20年で1.5倍に増加しているそうです。

そして「お墓」も守る人のいないお墓が年々増えているそうです。無縁仏なってその後改葬されたお墓は政府統計によると、令和2年度時点で約3,000件。実際に統計では数えられていない件数も多くあると言われています。

その要因としては、やはり少子高齢化やそれに伴う首都圏以外の地方の過疎化が大きいものと思われます。そんな守りきれなくなったお墓をどうすれば良いのか、大きな社会問題かもしれません。

そこで近年よく耳にするようになったのが「改葬」です。お墓の墓じまい、お墓の引越しという言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。テレビや雑誌などでも取り上げられることが多くあります。
墓を「終う」という意味でどこか断捨離の延長のようなイメージがありますが、お墓を処分するだけではなく、そこに納められていた遺骨の引越し先もセットで考えなくてはなりません。

例えば、遠方の実家でお墓を継いでいた両親も亡くなり自分が住んでいる近くの納骨堂にお墓を移すケース。一人っ子同士の夫婦がそれぞれの実家のお墓をひとつにまとめる必要の出たケース。住んでいる環境によって改葬が必要な状況は違ってきます。

いずれにせよ、お墓の引越し先を決めなくてはなりません。
ひとつには遺骨を自分の近くで管理しやすい場所に移すという選択。
前出の例のように古いお墓をしまって、身近なエリアに新たなお墓を確保し、そこに遺骨を移すという方法です。
先祖代々のお骨があるため、全てはお墓に移すのが難しいといった場合、両親のものはお墓にうつし、それ以外は合祀墓に遺骨を移して、永代供養にしてもらうという方法もあります。

そう考えると、墓じまいとはご先祖を無縁仏としないよう、自分の生活スタイルに合わせてお墓との関わりを新たにする、ということではないでしょうか。

一つ墓じまいなどの改葬でスムーズに進めるための鉄則を。
それは事前に親族間・家族間での相談を十分にしておくこと。トラブルの多くは親族間・家族間での意思疎通の不足が原因となっています。
なぜ墓じまいをするのか、そのあと遺骨はどうしたいのか、費用負担も含め理解を得ておきましょう。

現在寺院墓地にあるお墓を墓じまいする場合には、寺院へ早めにその意思を伝えておくこともおすすめします。
その際には今までの供養に対する感謝を伝えるとともに、御礼を用意しておくと良いでしょう。

事前のコンセンサスをしっかり整えておくこと。それが何よりも重要です。

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