2011年に公開されたドキュメンタリー映画「エンディングノート」をご存知ですか。この映画をきっかけに、終活のひとつとしてエンディングノートが意識されるようになったようです。書店で冠婚葬祭のカテゴリーの棚を見ると、さまざまな種類のエンディングノートが並んでいます。なかを開いてみると多種多様。重要な項目を記入したら、それを安易に見られないようにシールを貼るものもあります。さながら自分史のような仕上がりになるノートも。いろいろなタイプを参考にして、自分らしいノートを作る人もいるかもしれません。
そもそもエンディングノートって何? と思われる方もいるかもしれませんね。エンディングノートとは、その名のとおり人生の終わりのためのノートです。思いがけず病気になってしまったり、不慮の事故で亡くなってしまったり。あまり考えたくないことですが、これは誰にでも起こり得ることで、意思疎通ができなくなる場合もあるかもしれません。エンディングノートは遺言書とは違い、法的な効力はありませんが、自分の死後にどうして欲しいのか、残された家族にとって必要な情報を得るためのものになります。また、記入をして項目を埋めていくと、自分の人生を振り返ることができる、それがエンディングノートです。
具体的にどんな項目が必要なのでしょう。
いくつかエンディングノートを見てみるとこのような項目があります。
○自分の基本情報
名前、住所、学歴、職歴、スマートフォンやパソコン、SNSなどの情報。それぞれのログイン時のパスワードなどを記入したら、それを隠すシールが付いているノートもあります。
○お金や資産について
預貯金口座や所有している有価証券やその他の金融資産、不動産や保険など。クレジットカードや電子マネーの情報もまとめておきましょう。ただし、暗証番号を記入する場合は、不正利用を防止する対策として、保護シールを貼ったり、あるいはノートとは別の用紙に記入してまとめておくなど、注意をしてください。
○健康状態について
食べ物や薬のアレルギーがあれば詳細を記入しておくと安心ですし、かかりつけの病院や現在服薬している薬、病気や怪我についての履歴。自分で判断できなくなった時のために、介護や癌の告知や終末期医療についての希望も記入します。
○死後について
葬儀やお墓、法要についての希望。遺産相続について法的にきちんとしておきたい場合は、専門家に相談しましょう。また、大切なペットの世話ができなくなってしまうことを考え、ペットの基本情報も書いておきます。そして、誰にペットを託すのか、事前に相談をして決めておきたいものです。
○大切な人へのメッセージ
残される大切な家族や友人たちに気持ちを書き伝えておきましょう。
エンディングノートは、こうであるべきというルールはありません。書きながら、大切な人たちへのメッセージが膨大になることもあるでしょう。その時間が、自分自身の人生を振り返る大切なひとときになるかもしれません。そして、用途として上記のような項目があれば、残された家族は迷わずに判断できることがあります。
自分のために、そして家族のために、エンディングノートを書いてみませんか。