仕事から帰ると、眠っていたはずの猫がぱっと起き上がって、いつも元気に迎えてくれます。玄関まで小さな足音で駆け寄ってきて、「おかえり」と言わんばかりに鳴いてくれる姿に、毎日「今日も元気でいてくれてよかった」と心から安堵します。ご飯の時間になると甘えて足元にすり寄ってくる愛らしい仕草に、こちらまで幸せになります。そんな日常を過ごしていると、この子はただのペットではなく、かけがえのない「家族」そのものだと実感します。
その分、体調を崩したときの心配は大きなものです。咳が続いて心配になり病院に連れて行ったところ、ただの風邪とわかり抗生物質を飲んで元気になりました。「大ごとじゃなくてよかった」と胸を撫でおろしたこともあります。
こうした経験を通して改めて感じるのは、「私がこの子を守っている」という責任と、「もし私に何かあったらどうしよう」という不安です。もし長い間そばにいられなくなったら…。考えるだけで胸が締めつけられるような気持ちになります。
だからこそ、元気なうちに考えておきたいのが「ペットと一緒に歩む終活」です。
終活と聞くと大きなことをイメージしがちですが、実はペットに関してはもっと日常的で身近なことが多いのです。
例えば――
・ごはんや病院の記録をまとめておく
・もし自分が入院したときに預かってくれる人を決めておく
・かかりつけの動物病院や好きなおやつをエンディングノートに残しておく
こうした“小さな準備”でも、ペットの安心につながります。
最近では「ペット信託」という制度が広がりつつあり、信頼できる人や団体に将来の生活を託せる仕組みもあります。大げさに聞こえるかもしれませんが、愛するペットのために用意しておくことは、私たちにとって安心につながります。
また、近年では「ペットと一緒に入れる納骨堂」や「ペット専用のお墓」も増えてきました。「最期まで一緒にいたい」という想いを形にできる選択肢があることは、ペットと暮らす私たちにとって心強い変化だと感じます。
こう考えると、終活というものは「今をより大切に生きるための準備」だと感じます。
もしもの時に備えながら、今日もこの子と過ごす時間を安心して楽しむことができる。ペットとの暮らしそのものが、私たちに“今を生きること”の尊さを教えてくれています。

