世界には様々な葬儀スタイルがあります。日本人が当然と考える火葬も、世界には土葬をメインとする国が数多くあります。
キリスト教やイスラム教などでは死者の復活を教義とするため基本は土葬です。水葬や風葬、鳥葬といった、墓を必要としない葬儀も存在します。タイやミャンマーは国中に寺院が点在。道行く托鉢の僧侶は日常風景ですが、これらの国に個人の墓は存在しません。火葬後、遺骨は海や川へ流されるのです。チベットやインドの一部で行なわれているのが鳥葬。
輪廻転生を信じるチベット仏教。岩の上に亡骸を横たえ、それをハゲワシがついばむという方式。
インドではゾロアスター教の信者が行ないますが、近年ハゲワシの数が減少し、食べ残しが問題に、という話も。墓や霊園も多種多様です。
日本人の墓は先祖供養を目的とし、複数の人間が入りますが、世界では概ね個人のもの。つまり、一人一墓です。
そのため時に個性豊かな墓石が登場。故人の趣味や思い出を反映した、車やバイク、ペット、サッカーボール、はては自身の等身大像まで墓石にします。墓地や霊園の雰囲気もその国独自のもの。
米国の墓地はスケールの大きさに驚かされます。緑の芝生、噴水、美しい建築物と彫刻。戦没者慰霊墓地には真っ白い十字架が果てしなく立ち並んでいます。
パリにあるモンパルナス墓地やモンマルトル墓地には、サルトルやスタンダールといった文豪が、ウィーン中央墓地には、ベートーベンやシューベルトなどの音楽家が眠っています。観光客がひっきりなしに足を運ぶ、まるで観光地のような存在です。韓国の田舎でたまに目にするのは土を丸く盛ったかわいらしい饅頭型の墓。メキシコの墓は花のデコレーションでラテン系の明るさにあふれています。中国やマレーシアなど、中華圏で見かけるのが引き出しを重ねたようなマンションタイプ。ルーマニアにはポップなイラストが刻まれた、アート作品のようなカラフルな墓があります。
死に向かって生きている人間。
儚いからこそ大切な命。世界中の人々が思い思いにお墓と向き合っています。